更年期で膣がゆるむと尿漏れが起きやすい?原因と対処法について解説

監修医師
監修医師

満行 みどり

公開日: 2024.03.01 更新日: 2024.03.01

略歴

国立佐賀医科大学(現佐賀大学)医学部卒業。その後九州大学第二外科、佐賀県立病院好生館にて外科、救命救急、麻酔科全般を習得。
大手美容外科にて、ボディデザイン、女性器形成手術など多くの症例を手掛ける。

レーザーによる女性器の若返り治療、膣の引き締め、外陰部形成のライセンスをアメリカのビバリーヒルズにて日本人の女医として初めて習得。東京の広尾に、日本人初となる女医による女性器形成専門クリニック、みどり美容クリニック・広尾を開院する。

資格

  • ・DLV(レーザーによる外陰部形成手術)認定医
  • ・LVR(レーザーによる膣の引き締め手術)認定医
  • ・ビビーブ認定医
  • ・ベイザー4D認定医
  • ・ベイザーハイデフ認定医
  • ・レーザー&ヘルスアカデミー婦人科講師
  • ・インティマレーザーアドバンストインストラクター(インティマレーザー指導医)
  • ・Fotona(フォトナ社)インターナショナルコンサルタント
  • ・パールフィラー認定医(パールフィラー注入セミナー講師)

所属学会

  • ・日本美容外科学会会員
  • ・日本性機能学会会員
  • ・日本抗加齢学会会員
  • ・アメリカレーザー医学会正会員

はじめに

更年期を迎えると、ホルモンバランスの変化が体にさまざまな影響を及ぼします。

その中でも、尿漏れは多くの女性が経験する悩みの一つです。実際に、誰にも言えずに悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
尿漏れは放置していても治るものではなく、むしろ悪化する可能性があります。

そのため、適切な対策を行う必要があります。
この記事では、更年期に伴う尿漏れの種類や原因について解説します。予防や改善に役立つ対策方法も紹介するので、ぜひご覧ください。

更年期に起こりやすい尿漏れの種類

尿漏れとは、自分の意志に反して尿が漏れてしまう症状のことを指し、いくつか種類があります。
ここでは、更年期に起こりやすい尿漏れの種類を紹介します。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、骨盤底筋群(尿道を締める筋肉)の力が弱まり、お腹に力が入ったときに尿が漏れてしまう症状のことです。
筋肉の弱体化により膀胱や尿道を支えられなくなることが原因です。

咳やくしゃみ、笑ったとき、重い荷物を持ち上げたときなど、日常の動作が引き金となり、尿が漏れてしまいます。症状が重くなると、歩行するだけでも漏れることがあります。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁とは、急に尿意が来て我慢できなくなり漏れてしまう症状のことです。
原因としては脳からの指令がうまく伝わらず、膀胱が正常に機能しない「神経因性」の場合「非神経因性」の場合があります。

「非神経因性」では女性の場合、骨盤臓器脱が原因で切迫性尿失禁になるケースがあります。
尿意を我慢しようとしても、膀胱の収縮が抑えられず、トイレに間に合わないこともあります。

トイレへの不安から外出を控えるなど、日常生活に大きな影響を与えることもあるため、早めの対策が必要です。

混合性尿失禁

混合性尿失禁とは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状がある状態のことです。
2つのタイプが同時に存在するため、日常生活において困難を感じやすく、症状の管理が難しくなることがあります。

また、腹圧性か切迫性のどちらかに偏っている方もいるため、症状に合わせた治療が必要です

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁とは、尿意があってもうまく出ず、尿が少しずつ漏れてしまう症状のことです。
排尿がしづらくなることで膀胱に尿を溜めきれず、限界を超えて溢れてしまいます。

特徴的な症状は、排尿に時間がかかり、強い残尿感があることです。少しずつ尿が溢れてくるため、尿漏れに気づかないこともあります。

更年期に尿漏れが起こる3つの原因

次に、更年期に尿漏れが起こる3つの原因を紹介します。更年期に尿漏れが起こる原因は以下のとおりです。

  • 1膣のゆるみ
  • 2骨盤底筋の衰え
  • 3骨盤臓器脱

膣のゆるみ

1つ目は膣の緩みです。膣がゆるむことで、尿道や膀胱を支える筋肉が弱くなり、尿漏れを起こしやすくなります。
膣がゆるむ原因として、加齢や出産・肥満・運動不足・姿勢が悪いことなどが挙げられます。膣のゆるみは、予防はできても自力で元の状態に戻すことはできません。

骨盤底筋の衰え

2つ目は骨盤底筋の衰えです。出産や加齢・肥満・女性ホルモンの低下などによって骨盤底筋が衰えると尿漏れを起こしやすくなります。
骨盤底筋は、膀胱・膣・子宮など、骨盤内の臓器を支える役割を担っています。

つまり、骨盤底筋が衰えると、尿道を締める力が不足し、尿が漏れやすくなるのです。骨盤底筋が衰えていると、腹圧がかかった際に特に漏れやすくなります。

骨盤臓器脱

3つ目は骨盤臓器脱です。骨盤臓器脱になると、尿漏れを起こす可能性があります。骨盤臓器脱とは、骨盤内の膀胱や子宮などの臓器が膣内に脱出する症状のことです。

骨盤臓器脱の原因は骨盤底筋の衰えで、筋力や靭帯の組織が弱くなることで発生します。

特に、膀胱が下がる膀胱脱(ぼうこうだつ)は、膀胱が正しい位置からズレるため、尿道の締まりが悪くなり尿漏れが起きやすくなります。

自分でできる尿漏れの対策方法

最後に、自分でできる尿漏れの対策方法をいくつか紹介します。

ケーゲル体操(骨盤底筋体操)

ゆるんだ骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操(骨盤底筋体操)も効果的です。
ケーゲル体操は簡単に行えるので、毎日のルーティーンとして取り入れることがおすすめです。ケーゲル体操は以下の手順で行います。

1.お尻の穴と膣を締め、おへそまで持ち上げるイメージをする
2.そのまま5~15秒キープ
3.息を吐きながら力を抜く
4.1~3を数回繰り返す

「10回3セット」など、自分ができる範囲で決めて行うとよいでしょう。数週間から数か月の継続的なトレーニングで効果が現れます。

膀胱トレーニング

排尿を自分でコントロールできるようにする膀胱トレーニングも、尿漏れの対策方法の一つです。
膀胱トレーニングとは、尿意を我慢するトレーニングのことで、切迫性尿失禁の症状の方に適しています。

まずは、トイレに行くことを1回だけ我慢してみましょう。最初は5分程度我慢して、それを1週間続けます。
慣れてきたら、10分、15分と我慢する時間を徐々に伸ばしていきます。最終的に2~3時間我慢できるとよいでしょう。

ただし、尿漏れの種類によっては膀胱トレーニングが有効ではないこともあります。
場合によっては症状を悪化させる可能性もあるため、きちんと診察を受けた上で医師の指示に従うことをおすすめします。

体重管理

肥満体型の方で腹圧性尿失禁の症状のある方は、減量をすることが尿漏れの予防になります。
お腹周りがすっきりすることで、腹圧を抑えられるためです。

バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れ、健康的な体重を維持することが大切です。
過度に腹圧がかかるような激しいトレーニングは避け、軽いエクササイズなどから始めるとよいでしょう。

運動を取り入れれば、減量だけではなく骨盤底筋を含む全身の筋力を向上させられるので、尿漏れを防ぐ助けとなります。

体の冷えの予防

体を冷やさないことも重要です。膀胱は、副交感神経によって膨らんだり縮んだりしています。体が冷えると膀胱が縮み、尿意を感じやすくなるため、すぐに膀胱が満杯となりトイレに行く回数が増えます。具体的には以下のような対策を行うことができます。

・手足や腰を冷やさない
・適度な運動を取り入れて血行を促進させる
・温かい飲み物やスープを摂取する
・お風呂で体を温める
・十分な睡眠を取る

特に、切迫性尿失禁の症状がある方は、体を冷やさないように注意しましょう。日常的に体を温める習慣を取り入れることで、尿漏れだけではなく健康維持にも役立ちます。

水分摂取量の調整

適度な水分摂取をすることも大切です。尿の量をコントロールすることで、膀胱への負担も軽減されます。
特に気をつけたいのは、過剰な水分摂取や、カフェイン・アルコールの摂取です。これらは尿失禁を悪化させる場合があるため注意が必要です。

また、水分は一度に大量に摂取するのではなく、こまめに取ることをおすすめします。
特に、夜間に水分を多く摂取すると、夜間頻尿(夜中にトイレに起きること)になる可能性があるため注意しましょう。
自分の体調や症状に応じた水分摂取を心がけることが大切です。

クリニックでの治療も一つの手段

尿漏れが改善されない場合は、クリニックで治療を受けることも1つの手段です。
特に自分でトレーニングを行い改善を目指す場合、効果が出るまでに数ヶ月かかるため、すぐに治したい方にはおすすめです。

クリニックで受けることができる膣の引き締め治療には、外科的な治療である膣縮小手術や、レーザーや膣ハイフなどのマシンによる治療があります。

治療をすることで、膣内の組織の再生を促せるため、尿漏れの改善につながります。具体的な治療方法については医師と相談し、自分に合った最適な治療方法を選択することが重要です。

レーザー治療については、以下の記事で詳しく紹介しています。

まとめ

更年期を迎えた女性の中には、尿漏れを経験する方が多くいます。
尿漏れにはさまざまな種類があり、症状によって改善方法も異なるので、自分に合った治療法や改善策を見つけることが重要です。

日常生活に取り入れられる対策はいくつかありますが、改善が見られない場合はひとりで悩まず、医師に相談することが大切です。

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カウンセラー歴 20

みつゆき みどり 院長

  • 美容婦人科
  • 女性器形成
  • 産後ケア
  • 更年期医療
  • 計8件の国際的な資格に認定

女性器に関する悩みは大変奥が深く、様々です。一般の美容外科でも女性器に関する治療は広く行われています。しかし、型通りの治療であって根本的な悩みの解決には至らないものであったり、ご自身の悩みの本質がどこにあるかよく分からないまま勧められる手術を受けられて結局は悩みが解決されなかったという方々も中にはいらっしゃるかと思います。

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アメリカの女性器形成専門センターでトレーニングを受けこのライセンスを取得した、日本人初の女性医師として、1人でも多くの日本の女性の方々の悩みが解決されるよう努めてまいります。