更年期は女性の体に大きな変化がある

更年期には、女性の体にさまざまな変化があります。

更年期に起こる不快な膣の症状や更年期に多い萎縮性膣炎について解説します。

更年期に起きる体の変化

更年期とは、閉経の前後5年程度の期間を指します。日本人の平均の閉経年齢は50.5歳であるため、およそ45〜55歳くらいの期間が更年期です。

更年期に入ると、卵巣から分泌される女性ホルモンである、エストロゲンの分泌が減少します。

エストロゲンが減少することで、体にさまざまな症状が出ますが、程度の差は人によりさまざまです。症状が軽く、ほとんどこれまでと変わらない方がいる一方で、日常生活を送ることさえ困難になってしまう方もいます。

陰部の症状以外に多いのは、ほてり・冷え・疲労感・動悸などです。不安・イライラ・不眠・抑うつなどの精神的症状がでる場合もあります。更年期における上記の障害は、女性のQOL（生活の質）を下げる原因になります。

更年期に起こる不快な膣の症状

更年期には、膣や外陰部にさまざまな不快な症状が出ます。更年期に起こる不快な症状は以下のとおりです。

・痛み
・かゆみ
・灼熱感
・出血
・不快なにおい
・おりものの変化
・ゆるみ
・感度の低下

更年期に入り、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少することで、膣粘膜が薄くなり、膣壁が弾力を失います。

膣壁が薄くなることは、膣内に空洞部分が生じるため膣のゆるみの原因です。膣がゆるむことで、男性器との密着度が減少し感度の低下を引き起こします。

また、膣内の分泌物が減少し膣内が乾燥するため、膣内環境が悪化します。

膣内環境の悪化とは、膣内の常在菌が減少し自浄作用が悪くなることです。外部の雑菌の侵入が起こったり、常在菌の一つであるカンジダ菌が異常増殖したりします。

更年期に多い萎縮性膣炎とは

更年期に起こる不快な膣の症状の多くは、萎縮性膣炎によるものです。萎縮性膣炎とは、エストロゲンの減少によって膣や外陰部に炎症が起きている状態です。

エストロゲンの減少により膣粘膜が乾燥し、ちょっとしたことでも膣内が傷つきやすく、雑菌などが繁殖しやすい状況となります。

エストロゲンの減少は、膣の乾燥による痛みやかゆみ以外に、頻尿・尿失禁・膀胱炎などの症状も引き起こすことがあります。これらの症状の総称がGSMです。

GSMとはGenitourinary Syndrome of Menopauseの略で、閉経関連泌尿生殖器症候群のことです。萎縮性膣炎もGSMの症状の一つに含まれます。

更年期の膣ケア

更年期の膣ケア（フェムケア）とはどのようなものか、その重要性について解説します。

膣ケア（フェムケア）とは

Femcare（フェムケア）とは、Feminine(女性の)とCare(ケア)をかけ合わせた用語です。

膣ケアとは、膣内や外陰部を清潔にし、保湿やマッサージすることで、デリケートゾーンを健康な状態にするセルフケアのことです。他にケーゲル体操で知られる骨盤底筋のトレーニングもあります。

膣ケアすることで、更年期に起きるさまざまな不快な症状が改善できることがあるため、QOL（生活の質）が向上するでしょう。

更年期の膣ケアの重要性

更年期に起きる陰部の不快感は、膣ケアすることで症状の抑制、予防できる場合があるため重要です。

膣ケアで改善できる症状の例は以下のとおりです。

・痛み
・かゆみ
・不快なにおい
・黒ずみ
・ゆるみ
・性交痛
・冷え
・婦人科系病気の早期発見
・骨盤臓器脱の予防

陰部を清潔にし、保湿することで痛みやかゆみ、不快なにおいなどの改善に期待できます。マッサージで血流がよくなり、筋肉の硬直をやわらげることで、冷えやゆるみ、性交痛などを抑制できる可能性があります。

また、膣ケアによりデリケートゾーンに関心を持つことは、婦人科系疾患の早期発見につながるでしょう。

骨盤底筋を鍛えるトレーニングによって、子宮脱などの骨盤臓器脱や尿もれの改善が期待できます。骨盤臓器脱とは、骨盤の底で臓器を支えている筋肉が弱くなり子宮、膀胱、直腸などの臓器が飛び出してくる病気です。

膣ケアは、上記の症状を改善できる可能性があるため、できることから取り組んでみましょう。

膣ケアの方法

膣ケアの方法は、下着や生理用品を選ぶことや、陰部の洗い方を工夫する方法があります。

他に、膣トレ・膣マッサージや生活習慣を見直すことでも対策できます。また、脱毛のしかたにも注意しましょう。

下着や生理用品を選ぶ

膣ケアの方法として、下着や生理用品を選ぶことは重要です。下着や合わない生理用品の使用による締め付けや擦れなどを防止するためです。

下着はシルクやコットンなどの素材がおすすめで、肌に合ったものを使用します。タイトな下着は避け、通気性が良いゆとりのある下着を選ぶことが大切です。

できることなら、汚れたらまめに履き替え、生理用品は長時間タイプよりも、短時間タイプをまめに交換した方が良いでしょう。いずれも清潔に保ち、蒸れないようにすることが大切です。

洗い方を工夫する

デリケートゾーンを洗う際には、刺激を避け、汚れをしっかり落とすよう工夫することが大切です。洗い方を工夫することで、皮膚の乾燥を防ぎ、雑菌の繁殖を抑える効果があります。

デリケートゾーンの洗い方は、デリケートゾーン専用など、弱酸性の低刺激なソープの使用が望ましいです。洗う時は、ナイロンタオルなど刺激の強い物でゴシゴシ擦らず、ソープをよく泡立て指でやさしくなでるように洗いましょう。

爪で引っかかないように、シワやひだの間もていねいに洗います。常在菌を洗い流さないために、膣の中までは洗わないようにし、肛門の雑菌が入らないよう前から後ろへ洗います。お湯は乾燥を引き起こすため、ぬるま湯がおすすめです。

保湿する

膣ケアでは、保湿することも重要です。保湿には専用のクリームやワセリンを使用します。

ワセリンとは、石油を生成してできた保湿剤で、肌表面に薄い膜を作ることで保湿します。陰部を下着の擦れなどの摩擦から保護できます。

精製度の高いワセリンは、アトピー性皮膚炎や幼児にも使用できることから、デリケートゾーンでも安心して使用できる製品です。

保湿クリームやワセリンは、入浴後に清潔な状態で塗布します。デリケートゾーンは乾燥しやすいため、タオルで水気をとったら早めに行いましょう。

ペーパーは使わず、清潔な指でやさしく塗ります。塗る範囲は大陰唇の周りのみにしておき、膣の中までは塗りません。また、生理中は肌が敏感になりやすいため、使用を避けた方が良いでしょう。

膣トレ・膣マッサージする

膣トレや膣マッサージも膣ケアとして有効です。膣トレとは、骨盤底筋を鍛えることです。膣のゆるみを改善し、子宮脱の予防、尿漏れ抑制効果が期待できます。

骨盤底筋トレーニングは、ケーゲル体操がおすすめです。息を吐きながら肛門や膣を5〜10秒程度ギュッと引き上げる感じで閉めた後、今度は息を吐きながら5〜10秒程度で脱力します。この動作を3〜5回程度、仰向けまたは立った状態で行います。

膣マッサージによる効果は、膣や外陰部の柔軟性が良くなる血流改善です。生理痛や子宮周りの冷え改善、性交痛の改善や感度アップ、潤い改善効果などさまざまな効果が期待できます。

やり方の一例は、専用オイルを使い、外陰部を左右に分け、やさしくなでるようにマッサージします。はじめは外陰部、次に小陰唇、最後に膣内に指の第二関節くらいまでを挿入し、膣内をやさしく撫でるようにマッサージすると良いでしょう。

生活習慣を見直す

膣内の環境を整えるために、生活習慣を見直すことも重要です。膣内の環境を整えることは、雑菌の繁殖による炎症やカンジダ症を抑える効果があります。

膣内環境の悪化には、ストレスが要因の一つであるため、ストレスをなくすよう生活改善することも大切です。

たとえば、規則正しい生活で睡眠をしっかりとる、適度に運動やストレッチするなどの方法があります。他に、趣味を楽しんだりリラックスしたりといった時間をとることも、ストレス軽減に良いでしょう。

脱毛の仕方に注意する

脱毛の仕方にも注意が必要です。脱毛の仕方が悪いと肌へダメージを与え、炎症の原因となります。

毛抜きで抜いたりカミソリで剃ることは、肌が傷みやすいためおすすめしません。電気シェーバーを使用すると良いでしょう。

毛が長い場合は、ハサミとクシを使用してある程度まで短かくしておいた方が、シェーバーに絡まないため処理しやすくなります。

膣ケアで効果がない場合でもクリニックで治療できる

膣ケアで効果がなかった場合でも、クリニックでなら根本的に治療できます。クリニックでは、インティマレーザー治療により、さまざまな更年期の膣ケアが可能です。

インティマレーザー治療は、切開による手術ではないため、痛みもほとんどなくダウンタイムが短いのが特徴です。

インティマレーザーは、照射モードを変えることで、以下の治療ができます。

レーザー治療では、外陰部のホワイトニング効果もあります。レーザー治療以外には、ヒアルロン酸を注入するG-Shot（ジーショット）で性交時の感度アップが可能です。

【まとめ】更年期の膣ケアで快適な生活を

更年期には、膣の乾燥によるかゆみや痛み、おりものの変化などさまざまな症状があり、膣ケアで抑制・予防できる場合があります。セルフケアをやってみたものの、改善しない場合にはクリニックでの治療がおすすめです。

クリニックでは、陰部に関する悩み全般を根本的に治療できます。当院では、多くのライセンスをもつ経験豊富な院長が診察から施術、アフターケアまで行います。

完全プライベートな女性専用クリニックであるため、安心して相談してください。